「NEJI」村上和香奈さんのアトリエへ。

本日は年末の旅の途中に、京都の北山で手作りの腕時計と装身具を制作されている「NEJI」村上和香奈さんのアトリエショップへお邪魔したときのお話です。

京都と言うと、「上ル」や「西入ル」とか複雑な表記の細い路地をくねくねした所にあるのかな?などと勝手なイメージを抱きつつ目的地に辿り着くと、意外にも北山通りという大きな通り沿いにつつましやかに佇むお店がそうなのでした。立地についてお尋ねすると、時計本体や金具の金属加工の際に金槌などで大きな音が出るため、あえてこのような場所を選ばれたそうです。

軒先にはクレマチスと時計草のツルが生い茂り、しっくいの白い壁と木製のドアとの調和がとても素敵。ワクワク気分で扉を開きました。

「こんにちは〜」と中へ入ると、外の喧騒を忘れる程に落ち着いた空間が広がっていました。温かな照明と味わい深い調度の品々に癒されます。

通りに面した窓辺で美味しいお菓子とお茶を入れてくださいました。テーブルの上にとまっている鳥さんはお友達の郡司庸久さんのものだそう。しっくりとお店の雰囲気に溶け込んでいます。

店内の奥がアトリエスペース。こちらで通りを行き過ぎる車や人々を眺めながら、トントンカンカンと時計を作っているのですね。正しい時計屋さんの趣が感じられます。

村上和香奈さんの腕時計の中の一つ。ムーブメント以外は全て心のこもった手作りです。腕時計って身につけている人と友に時を刻んでいくもの。何年も前に時計を購入したお客様が、時計のメンテナンスの為に再びお店に来てくれることもとても嬉しいことなんです。と話してくださいました。

自分の手から離れるとおしまいではなくて、その後の長〜いお付き合いのことまで考えてもの作りをしている方を前にすると、何だか大きくて温かいものにつつまれる気持ちがしました。

このような小さな袋物も制作していらっしゃいます。古布を縫ってお手製の革ヒモをくるりと回した味わいのある形。

正直時計ってあまり好きではなかった私。秒針がカチカチ動く音に急かされているように感じて、自宅の壁掛け時計も目を凝らさないと見えないくらい極小のものだし、腕時計なんて縁遠いと思っていたけど、こうして村上さんにお会いして作品を拝見しお話を聞いているうちに時計に対する思いが変わって来たような気がします。

私もこれを機に腕時計してみようかな!村上さんの腕時計なら長いお付き合いが出来そうな予感です。
村上和香奈さん。年の瀬の慌ただしい最中に大変お世話になりました。

追伸。
二月の企画展「かたちのきおく」では、「NEJI」村上和香奈さんの手作り腕時計と古布袋を届けてくださることになりました!
古いものがほとんどの作品の中で、村上さんの腕時計は過去から現在へと時をつなげる象徴的な存在として展示いたします。どうぞお楽しみに!!


2010 年 1 月 19 日 | 作家探訪の旅 | ツイートする