アーカイブ: 2011 年 11 月

イスとコーヒー、そしてことばのろうそくたちと

横浜のCharan Paulin(チャラン・ポラン)にて開催中の「イスとコーヒー」展。

本日は、サウダージブックスの浅野卓夫 さんが この展示のために選んでくれた一冊の本の推薦文がとても美しく心に響くものでしたので、紹介させていただきます。どんな本なのかは、ぜひお手にとって確かめてみてください。

「イスとコーヒー、そしてことばのろうそくたちと」淺野卓夫(サウダージ・ブックス)

黄昏時、コーヒーを片手にイスにすわる。せわしない日常をきざむリズムとはちがう、ほうとするような時のふくらみにつつまれて、本のページをひらく。照明をすこし落とした部屋のなかで、テーブルにキャンドルの炎がゆらめいていたら、シチュエーションとしては最高だ。そんな、夜になる前のつかのまの読書には、詩がぴったりだとぼくは思う。

詩とろうそくは、どこか似ている。どちらもかぎられた文字数、かぎられた長さのなかで、凝縮されたメッセージやエネルギーを、ぼくらに伝えてくれるから。ページにぽつりぽつりとまっすぐにたつ詩の行は、何本ものろうそく。誰にも聞かれないぐらいちいさな声に出して詩を読むことで、ことばにぽっとまあたらしい意味の火が灯され、ゆらめくイマジネーションの炎が、耳をすませる自分のこころの暗がりをしずかに照らしだす。

『ろうそくの炎がささやく言葉』という一冊の美しい青い本を、いま、ぼくは多くのひとに読んでもらいたいと願っている。詩人の谷川俊太郎さんはじめ 31人の書き手が、2011年3月11日以降の日々のなかで語ることばを失いつつも、東北の地の夜をおもって必死につむぎだした作品のアンソロジーだ。ろうそくの炎が祈りのためにあるなら、詩のことばもきっと同じだろう。

わたしは おぼえています

いっしょに あるいた

ともだちの えがお

ときどき あたまを なでた

こいぬの くろい め

(ぱくきょんみ「このまちで」)

イスとコーヒー、そしてことばのろうそくたちとともにある、読書の時間。そこでは、ぼくらが日々を生きるために忘れなければならなかった小さなものごとが、記憶のふかいところから奇蹟のようによみがえるのを感じるはず。ていねいに淹れた一杯のコーヒーが一日につかれたからだをあたためてくれるように、詩のことばは、忘れてはならない思い出のぬくもりによって、ぼくらの魂をそっとあたためてくれるのだ。

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浅野さん、良い本を紹介してくださりどうもありがとう!
チャラン・ポランに足を運んでいただいた皆さんに、この温かいことばが響きますように。
そしてチャラン・ポランでお過ごしいただくひと時が、皆さんの心をほぐす憩いの時間となりますように。


展示風景

ARAHABAKI主催 Charan Paulin「+wall」第一回企画展示 『 イスとコーヒー 』

開催期間11月19日(土)〜11月27日(日)
開催場所:横浜 Charan Paulin (チャラン・ポラン)「+wall」











海野毅のイス







OBADAのイス





成瀬治のイス




mokkoku-田中義明のイス







富井貴志のイス




undの古いイスたち





greenpoint books & thingsの本たち






あらはばき古道具






『イスとコーヒー』展、開催中です!

11月19日(土)より、横浜のCharan Paulin(チャラン・ポラン)にて始まりました「イスとコーヒー」展。初日は豪雨と風が激しさを増す中、aalto coffee 庄野さんの「コーヒー教室」に来ていただいたり、食事とともに展示を楽しんでいただいたり、感謝感謝の一日でした。ご来店いただいた皆さま、本当にありがとうございます!

本日と明日の火曜日は、展示をメインにした横浜版ARAHABAKIな空間でお待ちしております。お気に入りのイスに腰掛けて、ゆったりとカフェタイムを満喫してくださいね。いつもの海野毅さんのテーブルを窓際につなげて長テーブルにしています。これがとってもいい感じ!ご期待ください。

明後日、23日(祝)〜最終日27日(日)は、チャラン・ポランも通常営業していますので、一日を通してお食事をお楽しみいただけます。

『イスとコーヒー』
開催期間11月19日(土)〜11月27日(日)
※21(月)、22(火)は展示とカフェのみの営業とさせていただきます。
詳細はこちらです。
開催場所は横浜のCharan Paulinです。