西山芳浩さんの工房へ

本日は、金沢在住のガラス作家 西山芳浩さんの工房へお邪魔したときのお話です。西山さんとも嬉しいご縁があり「はなとオブジェ」に参加いただくことになりました。写真はゆったりとした時間が流れるアトリエでの風景。自然光の中で眩く佇む作品の美しさに、時を忘れて見入ってしまいます。

西山さんは、現在二つの工房で制作されているそうですが、この日は金沢市牧山ガラス工房でお仕事の日でした。金沢の街から適度に離れており、周囲には自然が溢れ、風通し良く明るい空気が流れている場所です。この気持ちいい雰囲気は何だろう?と思っていたら、元は小学校だったとのこと。ほんとだ。入口の向こうには小振りなグラウンドがありました。

トーテムポール型の学校表札。一人一人自分の顔を彫ったんだろうな。小さな学校だったんだね。

小学校と言えば二宮金次郎さんですよね。ちゃんといらっしゃいました。

建物の中は小学校の校舎を活かしたアトリエ棟と、立派な設備が備えられた工房棟があります。
電気炉や徐冷炉など設備について丁寧に説明してくれた西山さん。
研磨専用の別室も窓越しに拝見させていただきました。
天井が高く、明るくて開放的な工房が、西山さんはとても気に入っているそうです。

工房オリエンテーリングの最後に「面白い所を見せてあげますよ」と西山さんに案内されたのは、
体育館でした!
天井が木梁なんですよ。この床がワックスでピカピカな感じ。懐かしいですね。
立派な工房とレトロな施設の共存です。

さて、楽しい工房見学を終えて西山さんのアトリエに入りましたよ。

柔らかくて優しい語り調の西山さんとは同じ四国出身(西山さんは愛媛のお生まれ)としても打ち解けてお話できました。夫と一緒に車を走らせお伺いしたのが、3月の末。あの震災と収束の糸口すら見つからない原発への不安がピークだった頃でしたが、気持ち良い空気と西山さんのお人柄、そして作品と触れ合う中で、緊張していた心が「すぅ〜」と癒されていくのを体で感じました。

八角形のビン。ゆらゆらとした肌合い。
西山さんが一つ一つ息を吹き込むそれぞれに表情があります。

モール小鉢。
光を受けてきらめきます。

一目惚れしたグラス。
このグラスの為に制作した鉄型を見せていただき感動!
旋盤を使って鉄板をカットし、自ら溶接して仕上げたのだそう。
どことなく、しのぎの間隔が不均一なのも、狙って出来るものではないようです。

西山さんの制作工程は、このような道具を作ったり、実際にガラスを吹いてサンプルを制作する中で
徐々に理想の形へ近づけて行くそうです。
頭で考えるより手を動かしてみる。西山さんのもの作りへ込める情熱を垣間見た瞬間でした。

ガラスの角ビン。いろいろ。
西山さんから作り出されるガラスには物語を感じます。

横に並べてみましたよ。みんな違ってみんないいのです。

ご自身の感覚を大切に、心からガラス制作を楽しむ姿が印象的だった西山芳浩さん。

「はなとオブジェ」では、ご紹介したビンを中心に新作の花入れ、
そして定番の器も届けてくださる予定です。
どうぞご期待ください!


2011 年 4 月 19 日 | 作家探訪の旅 | ツイートする